経験頼みの限界
「理論より経験が大事」「経験が全て」という声は、経営者や熟練のマネージャー、ハイパフォーマーからよく聞かれる言葉です。付随して、「会社の研修なんて机上の空論で役に立たない」という声も。
経験が大事なことは共感しますが、経験が全て?という考え方は、行き詰まります。
・自分の成長が止まってしまうリスク
・部下・後輩育成がうまくいかないリスク
があるからです。
「プレイヤーとしては素晴らしいけれど、部下や後輩を育てられない」という人、あなたの周りにもいるのではないでしょうか。(自分かも、というアナタも含めて。。。)
成長には理論がある
上図は「経験学習サイクル」と呼ばれる、組織行動学者デービッド・コルブが提唱した理論です。
細かな解説は割愛しますが、要は
経験を繰り返す場当たり的なパターンではなく、
経験を踏まえ、内省から概念化(一般化)することで学習(成長)が促進され、良いサイクルが回る
というものです。
昨今、企業のマネジメント領域でよく聞く「1on1の対話」もこの辺りの効果があります。(加えて、人間関係構築や心理的安全の面でもメリットがありますが、ここでは割愛します)
ひたすら個人技で乗り切っている状態や、研修(幹部向け、管理職向け、メンバー向け問わず)がその効果を発揮できていない状態はこのモデルと照らし合わせると、課題が見えてきますね。
日常で出来ること
現実は、ひたすら経験(アクション)して切り抜けるシーンもありますが、切り抜けたあとはしっかりと内省し、
「自分(またはチーム等)の行動で何が良かったのか」
「次に活かせる学びは何か」
を明確にしていおくと、その後のアクションも、ナレッジ共有によるチームの底上げも変わってきます。
消耗戦を繰り返さず、自分にも周囲にも良い影響を与えられるよう、内省の時間を持つことがおすすめです。
「忙しくて、そんな時間はない!」
というアナタ、それは思い込みです。
出勤・帰宅の電車内など、スマホや手帳に書き出してみるのも効果があります。
できれば手書きがおすすめですが、難しい場合はメモ帳アプリなどでも良いでしょう。
仕事上の課題、やろうとしていること、感じたこと、もやもやを、キーワードだけでも良いのでつらつらと書き出してみてください。きっといろいろ出てきます。
メンターになるような同僚、コーチングのコーチなどがいれば話題にしてみるのもおすすめです。
消耗戦の人生から抜け出したい方、組織開発・人材育成に課題がある組織をどうにかしたい方は、この経験学習サイクルをヒントの1つとして、まずは内省していただくと良いかも知れません。
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著者プロフィール
佐藤 春幸(さとう はるゆき)
プロコーチと(株)セイムペイジ人事責任者のパラレルキャリア。コーチング・組織開発など、変化の渦中にある人と企業を支援。
米国CTI認定CPCC(プロフェッショナル・コーチ)