広がる副業の波
厚生労働省の働き方改革推進の一環で、副業(複業、パラレルキャリアなど表現は様々)解禁の企業が増えてきました。特に注目したいのは
単なる副収入ではなく自己実現や二毛作キャリアを歩む人
が増えている点です。新聞やテレビで取り上げられた事例で記憶にあるところでは、
・建設会社の営業をしながら音楽プロデューサー
・大手通信会社で働きながら日本酒講座の講師
・食品メーカーで働きながらプロスポーツチームのチアリーダー
・SEをしながら個人ECサイト構築・運営
...etc
などユニークな副業も目立ちます。
企業としては、労基法対応などの懸念で二の足を踏むところもまだまだ多いですが、工夫次第でいくらでも対応でき、前述のケースも同様です。
むしろ、
イノベーティブな人材の採用、発掘、リテンション
を考えるのであれば、副業禁止は企業としてのチャンスを潰しているとも言えます。
人間はもともと複数の役割を果たしている
私たち人間は本来、複数の役割を担う存在です。
会社において、
家族において、
地域において、
その他コミュニティにおいて、それぞれの顔を持ち、「あいつ子供ができて、仕事でも頼り甲斐が出てきたな」といったことを感じたりすることも。
副業を収入源の観点ではなく、
社会における役割の観点
でとらえれば、副業ならではの成長があり、その過程で得られた知見・能力・人間的成長・活力で他方の仕事にも新しい価値をもたらします。言い換えれば、
単一の仕事&同質集団からは生まれない破壊的(非線形な)イノベーションをもたらすことにつながります。
優秀な人材ほど制限を嫌う
優秀な、とりわけクリエイティブでイノベーションをもたらすような人材は、
何かに邪魔されず自分の力を100%発揮すること
を大切にしています。マンネリを感じれば去っていき、より力を発揮できる場所に向かいます。そんな人材も、現職を続けながら新しいフィールドで力を発揮できるなら、本人も会社にもメリットがあります。
副業も包括したキャリア支援
企業によっては社員のキャリア支援(キャリア相談)の仕組みを持っていますが、従来型の「定年まで勤める前提」「うちの会社でどうなっていくか」という枠内の話では、もはや力不足になっていくことでしょう。
転職を促す意味ではなく、
会社の中と外を両方使って、副業提案もしながら、会社も本人もwin &winになるキャリア支援
が必要です。
私が人事として社員と話していても、それは痛烈に感じますし、
行き着く先は、全員が雇用契約ではなくプロとしての業務委託契約
になっていくように感じています。
人気記事
カテゴリー
著者プロフィール
佐藤 春幸(さとう はるゆき)
プロコーチと(株)セイムペイジ人事責任者のパラレルキャリア。コーチング・組織開発など、変化の渦中にある人と企業を支援。
米国CTI認定CPCC(プロフェッショナル・コーチ)