「やりっぱなし」が研修を台無しにする
研修に投資する経営者や人事(研修企画等の担当者)から、
研修の時は気付きを得てイキイキしてたのに、現場に戻ったらだんだん元どおりになってしまった
現場の上司からは「研修もいいけど理想と現実は違うぞ」と言われて元どおりになってしまった
という声を多く聞きます。
このことは昔から繰り返されており、私も人事または受講者として何度も経験しました。
米国ロミンガー社の調査によると、リーダーシップ開発に影響を与える要素は以下の通り。
仕事の経験:70%
上司・メンターによる薫陶:20%
研修:10%
研修はたったの10%です。
いかに内容の濃い研修であっても、
やりっぱなしでは、日常業務に戻って間も無く受講者の頭の中から消えてしまいます。
ではどうするか。話はシンプルで
70%を占める(日常の)仕事の経験に結びつけること
つまり、「行動変容をデザインすること」
にヒントがあります。
研修終盤のアンケートだけでは不十分
研修の終盤で、アンケートを設けるのは定番です。
研修コンテンツの評価が主な目的ですが、学びを確認し行動計画について記述するケースもあります。
ただ、それだけで日常の行動変容を促すことは容易ではありません。
理由は3つ。
・日常の行動変容と結びつけるために、自分だけの思考では限界がある
・研修で自分の意識が変わっても、日々触れあう現場の環境は変わっていない
・研修終盤の疲労感から、深く思考せず優等生な回答で済ませたい心理が働く
学びを深め、行動計画をプランニングする際は、
日常との橋渡し役 兼 ツッコミ役
がいるとその効果を高めることができます。
当社では現在、研修後に
・上司
・人事マネージャー
を交えた研修報告会を行い、
「学んだこと」「行動をどう変えるか」
を具体化します。
一人で考えるよりも深くクリエイティブな落とし込みが可能です。
また、
上司もその場に参加することで研修のコンテクストを共有
することができ、
本人にとっての応援者
になることができます。
行動のビフォーアフターにこだわる
研修効果を高めるには、行動計画→行動変容がポイントであるとお伝えしてきました。
その際の注意点として
「意識を変える」はNGワード
があります。
もちろん意識が変わることで行動が変わるのですが、
「意識を向ける対象」は「行動」に置くこと
が重要です。
意識は外から見えませんが、行動は他人からも見ることができます。
そこまでして初めて、自分でも何をどうしたらいいかイメージすることができます。
それでも具体的なアクションを明確にできないなら
その研修は本当に意味がないかも知れません。
すぐに見直しましょう。
<今日の質問>
これから行動をどう変えるか、ありありとシーンが思い浮かぶように教えてください。
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著者プロフィール
佐藤 春幸(さとう はるゆき)
プロコーチと(株)セイムペイジ人事責任者のパラレルキャリア。コーチング・組織開発など、変化の渦中にある人と企業を支援。
米国CTI認定CPCC(プロフェッショナル・コーチ)