1on1で部下から話題が出てこない時

 

今ひとつピンとこない1on1

ビジネスシーンで、上司と部下の定期的な「1on1ミーティング」がここ数年で一般的になりました。

昔ながらの半期・年間に一度の評価面談やキャリア面談、または業務の進捗管理に特化したものとは異なり、

 

上司がコーチとなり、部下の成長に向けてコーチングのような関わりを行う場です。

 

週1回、隔週に1回ペースで行われることが多いですが、

 

組織によっては「実施することが目的」となっていて、

上司・部下共に今ひとつピンと来ていないという声を聞きます。

 

特に上司側の問題意識として聞くのが、

 

・部下から「特に話すことはありません。」と言われてしまう

・何を話していいのかわからない

 

という実態です。

対話のスキル以前の問題ですね。

 

上司に何でも相談するはずがない

上司としては、

 

「もっと部下の方から問題意識や悩みを話してほしい」

 

と思うかも知れません。

 

しかしそれは、部下にとってはハードルが高いものです。

なぜなら上司と部下の間には利害関係があるからです。

 

上司に対して、下手に話すと自分の評価に悪影響が出るのではないか、

うるさく言われるのではないかと感じ、自己防衛反応が起こります。

組織において、これはごく自然なことであり、上司部下の1on1で本当に腹を割って話すというのは

 

実は難易度が高い取り組み

 

なのです。

 

 

心地よいだけでは1on1の目的を果たせない

こういう話をすると、

 

「話しやすい場づくり」

「心地よい場づくり」

 

に意識が向かいます。

 

 

なんのために1on1をやるのか。

企業により多少の違いはありますが、

 

パフォーマンスマネジメントを目的とし、

中長期的な成長に向けたコーチング/フィードバックを行う

 

という点はおおよそ共通するかと思います。

 

 

成長を促すには、組織の「心理的安全」を確保することも重要ですが

 

しっかりと「耳の痛いフィードバック」を行うことが重要です。

耳の痛いフィードバックが本人の元に届くこと、

それが、心理的安全を作る目的の1つでもあります。

 

上司として、そうしたフィードバックを苦手にしている人も多いですが

 

部下の指導育成は上司の仕事です。

居心地が悪くても、部下の成長のために誠意を持って

 

伝えましょう。

 

フィードバックが苦手な人には、

 

「罪を悪んで人を憎まず」

 

のスタンスがオススメです。

 

決して部下を人として否定するわけではなく、成長を願って率直に伝えているだけなのです。

 

部下へのフィードバックを通じて、上司自身の人間的成長にもつながることでしょう。

 

話題の切り口

とはいえ、対話の糸口をつかむのになんとなく苦労している上司も多いです。

 

部下としても

「なに話す?」

と言われたところで困ってしまう人も多いでしょう。

あくまで一例ですが、そんな時はこんな質問からはじめてみてください。 

 

・「この1週間で、仕事において印象的だったできごとは何?」

・「これからの1週間で、重要な取り組みは何?」

 

1on1ミーティングに上司と部下が慣れるまでは、このような具体的に答えやすい質問を入り口にしてみてはいかがでしょうか。

 

<今日の質問>

あなたは、部下に何パーセント本気で向き合っていますか?



著者プロフィール

佐藤 春幸(さとう はるゆき)

プロコーチと人事のパラレルキャリア。コーチング・組織開発など、変化の渦中にある人と企業を支援。

米国CTI認定CPCC(プロフェッショナル・コーチ)